京都大学と京都府、京都市は26日、世界から京都に多様な人材を呼び込み、世界に向けた産業振興を進めるための連携協定を結んだ。3者での包括的な協定締結は初めてという。
事業の柱は主に二つ。
一つは、国内外の高度人材の受け入れ、定着、育成だ。留学生や外国人研究者の円滑な受け入れ態勢を作るために、例えば、来日時の区役所での行政手続きのオンライン化に試行的に今春から取り組む。ほかにも海外からの高度人材と、行政のネットワークをいかしながら府内の地域や企業との交流の場を設ける。
もう一つは、最先端の研究成果を世界的な課題解決につなげる「ディープテック」とスタートアップの支援をはじめとする産業振興だ。起業を志す人を支援する「インキュベーション」の環境整備、高度人材とインキュベーター、ファンドとの交流機会の拡大、府と市が力を入れている医療やライフサイエンスなどの産業分野の人材育成や京都大の知見を生かした技術開発の連携や協力を想定しているという。
今回の協定は京都大側が呼びかけた。京都大成長戦略本部によると、創立以来、社会課題の解決のためにさまざまな研究に取り組んできたが、さらに進めるには行政との連携が不可欠と考えたという。
この日、京都大で締結式があり、京都大の湊長博総長、西脇隆俊知事、松井孝治市長らが参加した。湊総長は「国外からも多くの学生を受け入れている。こうした人たちに定着してもらい、まちの発展に寄与してもらいたい。3者の連携を深め、新しい京都の産業振興の形を作りたい」と話した。